マーケティングをするうえで重要なデータに定量データと定性データの2種類があります。どちらも市場をリサーチし、その精度を上げるうえで重要な役割を果たすものです。定量データとは、市場の占有率や売上高・人口・性別・年齢など、収集したデータを数値化することを前提に、あらかじめ設計された調査と言えます。各種の世論調査や国勢調査などがこれに該当します。これとは逆に、定性データとは、お客様などの対象者から発せられる生の声や満足度、リクエストなどを指し、数値化が困難なデータの収集を目的としています。定性データの代表的なものとして、グループインタビューなどが挙げられます。
定量データを実施する代表的な方法として、一般的なアンケートがあります。そこには、「はい」「いいえ」などの回答のほかにスコアリング方式と呼ばれる点数化された回答が用意され、質問者に対して、何を選択するのか、それに対する満足度などはどの程度か、といった項目を明確な数値データで具現化できることが大きな特徴です。これを時系列で実施することにより、顧客満足度の推移などが一目瞭然となり、この商品の満足度が年を追うごとに下がってきている、その原因は何かというかたちで要因を分析できる点が強みです。
定性データは、先に述べたグループインタビューのほか、ユーザーインタビューなどを通し、定量調査では得ることができない回答に至る理由や原因など、換言すれば、心理的・情緒的な心理構造を具現化する点が強みです。先述の商品満足度が停滞している原因を聞きとった結果、料理が十分な温かさで提供されていないことが原因として判明するなどの結果が期待できます。
定量調査・定性調査ともに単独で用いられるのではなく、それぞれを掛け合わせることによって相乗効果を発揮するものと考えて差し支えありません。消費者の購買行動は、ライフスタイルの変化とともに多様化・個性化の一途をたどっています。マーケットの状況を早期に掌握し企業経営に活かしていくこと、それが企業を長く存続させる上での秘訣と考えられます。